2018年06月13日

『さくらが咲いたら逢いましょう』感想

こんにちは。
今回は本の感想を。

時を超えて大切な人との『縁』を結ぶ「トキノサクラ」がテーマの短編集です。

『さくらが咲いたら逢いましょう』
渡来ななみ(著)
メディアワークス文庫3月の新刊
sakura.jpg

まず率直に感想を言うと、とても素敵な作品でした。

幻想的な風景描写。
時が重なり合うストーリー。
切ないけれど優しさに溢れた世界観。

形式としては短編連作ですが、各話が密接にリンクしているので、これは全体を通して1つの物語だと感じました。

公式のあらすじに書いてあるのは、あくまで第1章の説明だけで、実際の内容はもっと深い作品です。

その肝心のストーリーについては、詳細を書くとネタバレになるので難しいですが、ざっくり言うとこんな感じでしょうか。

「もし大切な人を失ったら?」
「その人にまた会えるとしたら?」

普通はきっと嬉しいでしょう。
会いたかった人に会えるわけですから。

ただこの作品の場合は「喜び」だけでなく、そのシチュエーションで発生するであろう「不安」「迷い」「葛藤」も丁寧に描かれていて、そこが大きな読みどころになっています。

ちなみに自分はこの作者さんのファンです。
前作や前々作も感想ハガキを送ったくらい好きです。

とはいえ今回の新刊は、実は読むのをためらっていて、6月になった今頃やっと読むことができました。

大切な人を失ったら。
冬に息子を亡くした今の私にはつらすぎるテーマです。

でも実際に読み終えてみると、つらい涙ではなく温かい涙が流れてきて、読んで良かったと思えました。

理由としては上に書いた通り、登場人物が体験する不安や迷いや葛藤に、素直に共感できる部分があったからじゃないでしょうか。

大切な人にまた会えても嬉しいだけじゃないですよね。
その人を失った苦しみは人生の中で決して消えないわけですし。

とまあ色々言いましたが、こんなに長い感想を書くくらいオススメなので、皆様も機会があれば是非お手に取ってみてください。

話は少し変わりますが、季節はもう梅雨ですね。

ですが私には春も梅雨も来ていません。
冬の1日に取り残されて心が永遠に止まったままです。

でもいつか、この作品のように素敵な春がやって来ると信じて、今はまだ生きることをやめずにいようと思います。
posted by 常木らくだ at 23:00| Comment(6) | 普通の雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この本、らくださんを傷つけることにならないかとずっと気になっていました…。
現実は小説より、ずっとつらいですよね。
私自身、昔、訳あって大切な友人を立て続けにうしなった経験があり、そこから学んだことを作中で生かすことができたと思います。それがほんの僅かなりとも、友人たちの生きた証になれたらと…そう信じたいのです。

春が来る時までの長い長い冬を生き抜くことこそが厳しく、苦しく、大変なことなのですが、どうかできる限りご自愛の上、生きてください。
そして息子さんが生まれてきてくれた証を未来に残してあげてください。
私の勝手な思いを書いてしまい、不快だったら本当に申し訳ありません。
Posted by ななみ at 2018年06月15日 23:40
>ななみさん

お久し振りです!
そしてありがとうございます。
応援している作家さんから声をかけてもらえるなんて自分は幸せ者です。
前作『想い出の色……』から約3年弱、ずっとずっと、新刊が出るのを楽しみに待っていました。

感想と称して勝手に色々書いてしまいましたが、私自身「傷つく」ということは全然なく、久し振りに温かい涙を流すことができました。

どれも素敵な話ですが、特に第4話が好きです。
P.279からのくだりが共感できて、わけもなく泣いてしまいました。
もちろん私に主人公のような経験はないですが、感情にシンクロできる部分がたくさんあって、ふと気がつけば夢中で文字を追っていました。

本来ならば、こうした内容はファンレターで伝えるべきところですが、自分のブログのコメント欄に書くという横着者で申しわけありません……(汗)

ハミガキ標語の方のコメントも、ななみさんと感性が似ているなんて嬉しいですし、応募してみようかな? という意欲が湧きました。
とにかくこれからも応援していますし、気が早いですが今後の新刊も楽しみにしているので、また素敵な物語を生み出してください。

私自身今はつらい冬の時期ですが、いつか立ち直って執筆も再開して、ゆくゆくは作家になりたいので、それまで待っていてくださいね!

常木らくだ
Posted by 常木らくだ at 2018年06月17日 16:50
らくださん。こんばんは。
らくださん、らくださんがこれから見るさくらを、様々な景色を、息子さんに伝えていってください。きっと、息子さんはらくださんのそばにいますから。
いつも、うまく言葉にできなくてごめんなさい。
遠くから祈ってます。
Posted by ミエル at 2018年06月17日 23:38
>ミエルさん

ありがとうございます。
妊娠、出産、初めての育児……。
今はその全部が自分にとって悲しい記憶です。
この悲しみを消化するには、まだまだ長い時間が必要ですが、それまでどうにか生きていこうと思います。
Posted by 常木らくだ at 2018年06月18日 13:37
応援してくださってありがとうございます!
自分でも4話が1番気に入ってるので、らくださんに共感していただいたこと、とても嬉しいです。

はい、らくださんの作家デビューの日を待っています!
私も作家でいられるよう、がんばります。

こちらこそ応援したい気持ちがありますが、今はなによりも無理しないで生きていてくださいね。
(無理をしないもなにも、地震とか色々大変そうですけど……汗)
Posted by ななみ at 2018年06月19日 15:44
>ななみさん
地震はどうにか無事でした……(汗)
今はとにかく無理しすぎないで、心身の回復最優先で過ごします。
作家になるにはまだ時間がかかりそうですが、長い目で見守っていただけると嬉しいです!
Posted by 常木らくだ at 2018年06月19日 17:30
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